
今回取材させていただいたのは、売場対応から海外取引のサポートまで幅広い業務を担い、海外事業部門では台湾担当として活躍されている、台湾出身の呉(ゴ)さんにお話を伺いました。
入社の経緯と「手芸業界」を選んだ理由
編集部:
呉さんは日本に来てどれくらいになりますか?来日のきっかけも教えてください。
呉さん:
来日してもう7年半になります。来たのは24歳のとき。出身は台湾で、大学では日本語を専攻していました。ただ、勉強としての日本語はやっていても「話す力」が足りないと感じていたんです。そこで、台湾と日本の間にあるワーキングホリデー制度を利用しました。抽選に当たって、「日本で暮らして働く」を実際に体験してみよう、と思ったのが最初の一歩です。
編集部:
弊社に入社したきっかけは?
呉さん:
知り合いの紹介です。入社したのはコロナ禍で、入社前に勤めていた宿泊業が厳しい状況になっていました。そんな中、「貿易をやりたい」という想いもあり、この手芸業界なら景気の波に比較的左右されにくく、長く働けると感じました。入社した当初の手芸業界はコロナ禍でもマスク作りなどの需要もあって逆に忙しくお客様の対応にあたっていました。
編集部:
語学面でのハードルはどう見ていますか?
呉さん:
今は外国人の就業者が増えたとはいえ、日本語が全く話せない状態での就職ハードルは高いと思います。コンビニや飲食などで言語を鍛えてから、次のステップとして専門性や企画力を伸ばせる会社に移る——というルートは現実的で、うちの会社はその「次のステップ」に向いていると感じます。
現在の役割:売場×海外対応の“二刀流”

編集部:
現在の担当業務を詳しく教えてください。
呉さん:
大きく「売場(店舗・仕入・企画)」と「海外対応(台湾担当)」の二つです。
編集部:
売場では何を?
呉さん:
ミシンや糸、ファスナーやボタンなどの“消耗品”分野を中心に展開している服飾資材の売場の担当をしています。
売場での主な業務は、在庫管理、仕入先とのやり取り、商品企画・販売企画、接客など多岐に渡ります。
編集部:
海外対応のほうは?
呉さん:
台湾の代理店を主に担当しています。すでに動いている店舗の支援に加え、立ち上げ段階から関わっているケースもあります。具体的には、
- 商品提案(売れ筋・新商品・現地の嗜好に合わせたラインアップ)
- 販売企画(キャンペーン設計、SNS・EC運用のノウハウ共有)
- 物流スケジュールの調整(船便・通関・納期逆算)
- 定期ミーティング(週1回を基本に、進捗管理・課題解決)
「商品を送る」で終わらず、“売れる状態”まで伴走するのが台湾担当のやりがいです。
編集部:
1週間の仕事の流れは?
呉さん:
週に1回の台湾向けのオンラインミーティングが軸です。そこで「どこまで達成したか」「次の締切は何か」を明確にします。新企画の採用が決まれば、販売開始時期から逆算して、輸送手段・通関・店頭展開までスケジュールを組みます。
1週間の間に次のミーティングで提案する商品や企画を準備しています。
編集部:
オンラインミーティングだけでなく、台湾に出張に行く機会もありますか?
呉さん:
オンラインミーティングで解決できる範囲は増えましたが、現場に行くと“問題解決のスピード”が違います。倉庫の在庫や売場の運用状況や現地スタッフと母国語でコミュニケーションをとると問題点が明確に見えてきます。定期的に現地で打ち合わせることでコミュニケーションの質が上がることを実感しています。
また、販売だけでなく仕入れの面でも海外ならではのアイデアを持ち帰り、オリジナル商品の開発につなげることもあります。実際、刺繍枠、ボビンケースなど、現地視察がヒントになった企画もありました。
横浜キルトショーでの“橋渡し”

編集部:
イベント業務についても教えてください。
呉さん:
横浜の大規模なキルトショーには、台湾のお客様・先生方を招待し、作品展示のサポートから現地での仕入れツアーまでガイドします。作品の背景や材料の違いを解説したり、日本の製品の特徴を伝えています。
編集部:
語学面の強みと、逆に難しい場面は?
呉さん:
中国語・日本語・英語の3言語でコミュニケーションできます。店頭で海外のお客様が来られたときは、現場から呼ばれて即時対応できるのが強みです。
難しさは「専門用語」。日常会話は問題なくても、製品仕様・加工工程・用途の細かい表現は言語化が難しい。特に英語での専門用語の説明は準備が要ります。日々分からなかった言葉はメモしてすぐに調べるように心掛けています。
海外の方へのメッセージ

編集部:
これから日本紐釦で働きたい外国籍の方へ、アドバイスは?
呉さん:
手芸が好きなら間違いなく楽しい世界です。素材が豊富で、自分の国へ“良いもの”を紹介するチャンスも広がります。一方で、手芸が趣味でなくても「商売が好き」「人と話すのが好き」なら活躍できます。うちの会社は、商品企画→仕入→在庫→販促→販売→顧客対応まで、商売の流れを一通り経験できます。そういった意味では手芸に縁がない方でも十分に活躍できる場が用意されていると思います。
編集部:
どんな人と一緒に働きたいですか?
呉さん:
日本語+母国語がある程度できて、笑顔で会話ができる人。そして、手芸が好き、または商売が好き。男女は関係ありません。自分で仕入れて、企画して、売って、改善して——そういう仕事を楽しめる人には、良い環境だと思います。
編集部:
最後に、採用ページを見ている方へメッセージを。
呉さん:
「日本で働いてみたい」という外国籍の方からの相談も歓迎です。店頭に来られたら、2階売り場にいますので是非声をかけてください。
Chuko Onlineのページ: https://www.nippon-chuko.co.jp/shop
facebookのページ:https://www.facebook.com/nipponchuko