
目次
はじめに
編集部:
今回は「代替品提案」をテーマに、26年目のベテラン営業・中谷充志さんにお話を伺います。
突然の品薄やメーカー廃業といったトラブルが起きたとき、営業担当者としてどのように動き、どのような工夫をしているのか、その裏側までじっくり掘り下げます。
充志さん、本日はよろしくお願いします!
充志さん: どうぞよろしくお願いします。営業現場のリアルを少しでもお伝えできればと思います。
まずは自己紹介から
編集部:
まずは、簡単に自己紹介をお願いします。
充志さん:
昭和54年生まれの46歳です。20歳で入社して、今年で26年目になります。
営業としてこれまでにいろんなお客様やエリアを担当してきましたが、現在は主に四国、兵庫、山陰、山陽といった地域を中心に回っています。
編集部:
どのような業種のお客様を担当されていますか?
充志さん:
お客様は昔から取引のある老舗の手芸店さんから、異業種の雑貨店さんや、加工業の方、新規のネットショップさんまで、本当にさまざまな業種の方とやり取りさせていただいています。
その中で「この人に聞けば何か提案してくれる」と言ってもらえるように、商品の知識や情報収集は欠かせない仕事だと思っています。
編集部:
26年も営業を続けていると、本当にいろいろな現場を経験されていますね。特に、充志さんのように長年の知識とノウハウをお持ちの営業さんだからこそ、代替品提案が光る場面が多いと聞いています。

笑顔が素敵な営業26年目の中谷充志さん。
突然の品薄―その瞬間、どう動く?
編集部:
ではさっそくですが、印象に残っている代替品提案の経験談を教えてください。
充志さん:
やっぱり真っ先に思い出すのはコロナ禍のときですね。あの時は、ガーゼやゴムの需要が爆発的に伸びて、どこの問屋さんやメーカーさんでも在庫が一気になくなってしまったんです。
うちにも「ゴムないですか?」「ガーゼないですか?」という電話やメールが殺到しました。
編集部:
まさに業界全体が一斉に困った状況ですね。
充志さん:
ええ、もう本当に「ないものを何とかしてくれ!」っていう声がすごかったです。
お客様の中には、特に小売店さんなんかは「これがなかったら店が回らない」という切羽詰まった状況の方も多くて。
そういうときこそ、営業としての出番なんですよね。
代替品の見極めと提案力
編集部:
具体的には、どのようにお客様に代替品を提案されたんですか?
充志さん:
ゴムやガーゼのような“必需品”がなくなると、お客様もとにかく似たような機能のものを求められます。
うちではストレッチテープ、バイアステープ、伸び止めテープなど、手芸材料としての「間口が広い」商品をたくさん扱っています。
お客様の話を聞きながら「こういう商品もありますよ」「これなら代わりに使えるかもしれません」と、できるだけ幅広い選択肢を提案するようにしていました。
編集部:
お客様からすれば「耳にかけて痛くなければいい」とか「少しでも代用できれば助かる」というレベルで探しているんですね。
充志さん:
そうなんです。特にコロナのときは、従来の用途にこだわらず、少しでもお客様の目的を果たせるものを見つける、という柔軟さが求められました。
お客様の「なんでもいいから提案して!」という声に応えるためにも、普段からたくさんの商品を把握しておくことが大切だと感じます。
「耳にかかって痛くなければ何でもいいから欲しい」とおっしゃるお客様も多かったです。
そういうときに「こういうのもありますよ」と代替品を提案できるかどうかが、本当に大事だと思います。
お客様に「この会社なら何か見つかるかもしれない」と思っていただけることが営業としてのやりがいでもあります。

お客様の“これ欲しい!”の声に応えて取り扱いが決まったアイテムもたくさん揃えています。
メーカー廃業・シリーズ終了時の代替提案
編集部:
最近はコロナ禍だけでなく、メーカーさんの廃業やシリーズ終了などで、商品が急に供給されなくなるケースも増えてきていると聞きます。
実際に現場ではどのように対応されているのでしょうか?
充志さん:
例えば今年の初めには芯地メーカーさんが廃業されて、長年扱っていた商品が一気に供給停止になったことがありました。
その時も、うちに相談があって「今まで使ってたものに近いものを探してほしい」というお声をいただきました。
編集部:
その場合は、どのように進めるんですか?
充志さん:
まずお客様に「現物を送ってください」とお願いします。商品写真だけじゃ分からないので、厚みや質感、糊の種類まで実際に触って確認します。
現物を確認して例えば「うちの在庫品でこれなら近いかも」「これは他社製品で代用できるかも」と複数の選択肢を考えます。
その上で、当社に在庫があれば提案し、なければ仕入れ担当と連携してメーカーさんに問い合わせるという流れです。
編集部:
お客様の要望にできる限り応えるために、社内外を駆けずり回っているんですね。
充志さん:
そうですね。メーカーさんが廃業してしまったという理由で「もう無理です」と突っぱねてしまったら、お客様は本当に困ってしまいますから。
「これに代わるものがないかな」「類似品は手配できないか」と常にアンテナを張っておくことが営業の使命だと思っています。

提案を支える“引き出しの多さ”
編集部:
まさに「提案の幅」が肝心ですね。充志さんの経験から、代替品提案で大事にしていることは何ですか?
充志さん:
やっぱり「うちが多くの商品を扱っている」というのは強いです。
普通の手芸専門商社さんだと、ゴムやテープだけでも在庫が限られていたりしますが、うちは8万点以上の在庫商品と200社以上の仕入れ先があるのでOEM対応や別注品まで視野に入れた提案ができます。
「なければ似たもの」「似たものがなければ作れないか」まで考えて提案するのが、うちの営業としての責任だと思っています。
編集部:
お客様が言葉にしないニーズまで汲み取って提案しているのですね。
充志さん:
はい。実際、お客様から「もう日本紐釦さんに相談するしかない」と言われると、本当にやりがいを感じますし、こちらも必ず何かを探し出して応えようと気持ちが引き締まります。

OEM開発・別注対応も提案力の一部
編集部:
最近、お客様から「オリジナル商品を作りたい」という声も増えているそうですね。
充志さん:
はい、OEMや別注の相談も本当に増えてきました。特にネットショップを運営している方や、他社との差別化を図りたいというお客様からのお問い合わせが多いですね。
編集部:
実際にはどのような形で対応しているんですか?
充志さん:
お客様が「これを自分たちのオリジナル商品として売りたい」という声に応えて、例えば50セットや100セットの少ロットからでもOEM提案しています。
中には、外装はお客様が用意されて、中身をうちで組み立てるというケースもありますよ。
編集部:
OEMって大ロットじゃないと難しいイメージがありますが、意外と身近なんですね。
充志さん:
そうなんです。お客様に「こんなの無理かな?」と思われることでも、相談いただければ意外とできることが多いので、ぜひ気軽に声をかけてほしいです。
編集部:
なるほど。OEMや別注対応については、もっとじっくりお話を聞きたいですね。
充志さん:
ぜひ!次回はOEMや別注対応について、もっと深く語らせてください。
最後に―充志さんにとっての「手芸」とは?

編集部:
では最後に、充志さんにとって「手芸」とはどんな存在でしょうか?
充志さん:
一言でいうと「楽しみ」ですね。
手芸は「必ず必要なもの」ではないけれど、作る楽しみ、集まって話す楽しみ、子どもに着せる喜び…
そういう「楽しむ気持ち」を支えるものだと思っています。
だから、商品がなくなったときに「諦める」ではなく、別の形でも続けられるように提案をする。
それが自分の仕事の醍醐味ですし、お客様の笑顔につながるなら、どんなに大変でもやりがいがありますね。
編集後記
廃業や品薄に直面しても、営業さんの粘り強い提案があるからこそ、手芸の「楽しみ」が守られ続けるのだと実感しました。
充志さんのような、知識と情熱を持つ営業さんの存在は本当に頼もしいですね。
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